認知した子も相続人である。
夫に妻も知らない隠し子(認知した子)がいたら、
隠し子(認知した子)も夫の相続人となるため、
将来、他の相続人(妻や子供)にとって大きな問題となります。
隠し子(認知した子)の存在はいつか必ずばれます。
もし夫が亡くなるときまで隠し通せたとしても、
夫が亡くなった時に確実にばれてしまいます。
なぜなら、
相続手続きには夫の出生から死亡までの戸籍が必要となるからです。
隠し子(認知した子)の存在はこれら戸籍を調べると簡単にわかってしまうのです。
認知した子も相続人となりますので、
夫の相続手続きを行うには、認知した子の協力が不可欠です。
突如あらわれた認知した子の存在で、
残された遺族にはだまされたという気持ちが芽生えてしまうかもしれません。
認知した子にとってもつらい手続きになるでしょう。
故人を想う大切な時間のはずが、相続人間で争うことだけは避けたいものです。
もしあなたが今認知した子を隠している立場であるなら、
生きてるうちに、どこかのタイミングで、妻や子供に伝えるべきだと思います。
認知した子を戸籍で調べる方法
妻や子供は夫の戸籍を請求できるのか?
相続が発生したときには必ず取得する戸籍ですが、
夫が生前の場合でも戸籍を取得することは可能です。
それでは、
妻や子供は夫の戸籍を請求することができるのでしょうか?
条文を確認してみましょう。
戸籍法第10条 第10条 戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者 (その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。 2 市町村長は、前項の請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。 3(省略) |
原則「本人、配偶者、直系尊属、直系卑属」が、
婚姻する前の過去の戸籍も含むて戸籍を請求できるとなっております。
つまり、妻、子、夫の両親は当然に夫の戸籍を請求できてしまうということになります。
ただし、役所は不当な目的による場合には戸籍請求を拒むことができると定めていることには注意が必要です。
戸籍はどこに請求したらよいのか?
戸籍の請求先は本籍地を管轄する市区町村役場です。
したがって、茨木市に本籍地のある方は、茨木市役所に請求することになります。
戸籍を請求すれば、現在戸籍のみを取得することになります。
しかし、認知した子を調べるためには、出生から現在に至るまでの戸籍をくまなく調べなくてはいけません。
出生から現在に至るまでの戸籍とは何でしょうか?
出生から現在に至るまでの戸籍とは?
現在戸籍には出生からの情報がすべて記載されているわけではありません。
戸籍というものは、法律の改正や婚姻、離婚、転籍、家督相続など人の行為によって、何度も作りなおされる仕組みだということを理解することが大切です。
新たに作られた戸籍より前の情報を知りたいは、過去の戸籍を遡って取得する必要があるのです。婚姻や転籍で本籍地を変更している場合には、請求する役所も異なってきます。役所をいくつもまわって出生までの戸籍を集めていくことになるでしょう。
戸籍とは通常、「現在戸籍」のことを指し、過去の戸籍のことは「除籍」といったり、「改製原戸籍」といったりします。 「除籍」は、婚姻や転籍など人的な要因で、 「改製原戸籍」は、法律改正によって作り直されている と理解しておくとよいでしょう。 |
出生から現在に至るまでの戸籍を集めるイメージは下の図のようになります。
(A町で生まれ、婚姻によりB 市を新戸籍とした。その後C市に転籍した場合。)
A町、B市、C市でそれぞれ戸籍を集めた結果、出生から現在に至るまでの戸籍は合計6通となりました。
認知した事実はどの戸籍に記載されるのか?
認知した子がいるかどうか調べるために、なぜ現在戸籍だけでなく過去の戸籍が必要なのでしょうか?
勘の鋭い方は、もうお分かりかもしれません。
それは、認知事項は、認知した時の戸籍にしか記載されないからです。
先ほどの図で確認すると分かり易いです。
オレンジの除籍に認知事項が記載されていることになります。
認知された子は、父親の戸籍に入るわけではなく、父親の戸籍の身分事項欄に「平成〇〇年〇月〇日〇〇市〇〇町6番地田中由紀子同籍隆司を認知届出㊞」と記載されるのみです。
認知事項は発見しにくく、戸籍に見慣れていない人は見落としがちなので下の図で記載場所をしっかり確認しておきましょう。