相続手続きで戸籍が必要と言われたけど何から集めたらいいの?
不動産登記であれ、
預貯金の相続手続きであれ、
相続手続きには、戸籍が必要です。
戸籍は相続関係を証明する書面だからです。
しかし、戸籍を1枚請求すれば、
それで全ての相続関係を証明できるいうわけではありません。
相続手続きをするために銀行に行ったら担当者に、
「被相続人の出生から死亡までの戸籍を集めてください。」
と言われた方もいるのではないでしょうか?
「戸籍を何通も集めなければならないの?」
と、びっくりされるかもしれません。
その通りなんです。
これを理解するためには、戸籍の仕組みを理解することが大事です。
①戸籍は市区町村役場ごとに管理されている。
②1つの戸籍には同じ姓(名字)のしか一緒に入れない。 ③1つの戸籍には「親と子」二代しか一緒に入れない。昔の戸籍は何代でも一緒に入れた。 |
これらの戸籍の仕組みから、
人が「結婚」、「離婚」、「転籍」することによって、
戸籍は何度も新しく作り直されることになるのです。
また、「法律改正」によって、戸籍の仕組み自体が変更され、戸籍が作り直されてきました。
「除籍(じょせき)」や「改製原戸籍(かいせいはらこせき)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これらは古くなった戸籍のことを指します。
作り直される理由によって呼び名が変わるのです。
「除籍」は、結婚、離婚、転籍など人的要因で作り直されています。
「改製原戸籍」は法律の改正によって強制的に作り直されています。
この2つの違いまで理解できたらバッチリです。
ここまで理解できた方は、
出生から死亡までの戸籍を集めるイメージができているかもしれません。
もう少し分かり易く図にしてみましょう。
下の図は甲さんの出生から死亡に至るまでの戸籍を時系列に沿って表しております。
「家督相続」は、家制度の時代、戸主の死亡などによって家督相続が発生すると戸籍が新たに作られる事由でした。現在は、筆頭者が亡くなっても戸籍自体が作り直されることはありません。
甲さんはA町で「出生」、「婚姻」でB市に移り、その後「転籍」でC市に移っております。したがって、3つの役所に戸籍を請求した結果、合計6通の戸籍が甲さんの出生から死亡までの戸籍となります。
さて、本日のテーマに話を戻しましょう。
相続手続きでまず最初に集めなければならない戸籍はなにか?
遺言による相続を除き、
絶対必要となる戸籍は次の2つです。
①被相続人の出生から死亡までの戸籍
②各相続人の現在戸籍 |
このセットは例外なく必要になりますので、
最初に集める戸籍となります。
この2つのセットプラス、ケースによって、必要となる戸籍が増えていくとご理解ください。
①故人の出生から死亡までの戸籍をとることによって、第一順位である子供がいるかどうかを調べているわけです。子供がいなければ、第二順位である両親はご健在かということで新たな戸籍を調べるわけです。なぜその戸籍が必要なのか考えると理解が深まります。
②各相続人の現在戸籍が必要な一番の理由は、生きているかどうかの生存確認です。相続人が死亡していれば、相続することが出来ないからです。したがって、戸籍の発行日は故人の死亡日より後である必要があります。
ちょっと難しくなってきましたね。
とにかく、まずは上の2つのセットを集めること。
これだけはしっかり押さえておきましょう。
最後に戸籍を集めるコツを申し上げます。
相続手続きには、被相続人の「(住民票の)除票」も必要になります。
被相続人の住所はわかるけど「本籍地」がわからないときは、まずは被相続人の「除票」を取得しましょう。
「除票」の交付請求書に「本籍地」の記載を希望すれば、
除票には本籍地が記載されます。
「当該本籍地」をたよりに、本籍地を管轄する市区町村役場に
出生から死亡までの戸籍を請求してみましょう。
前の本籍地がどこなのかは今の戸籍を見るとわかります。
しかし、古い戸籍のなかには読み解くのが難しものもあります。
そこで窓口で戸籍を取得する際に、
「前の戸籍はどこで取得できるのか?」
役所の方に聞くと親切に教えてくれるのでオススメします。