債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)の方針又は過払い金返還請求について

債務整理については、①任意整理・②個人再生・③自己破産と3つの方法があります。

①任意整理で手続きを開始したが、貸金業者と利息制限法(15%~20%)以上の利率での取引期間が長かかったため、利息制限法に基づく引き直し計算の結果、相手方に対し過払い金請求ができる場合は、任意整理ではなく④過払い金請求(不当利得返還請求)となります。過払い金は生じているものの債務が残る場合は①任意整理となります。

債務整理の3つの方法は、裁判所を通すか通さないかという大きな枠組みで次のように分けることができます。

1.任意整理(裁判所を通さない)

2.個人再生や自己破産(裁判所を通す)

1.任意整理は裁判所を通さず、司法書士がご本人様の代理人となって、消費者金融やクレジット会社等の債権者と交渉しますので、ご本人様の手続き上の負担はほとんどなく、非常にスピーディに手続きを解決することができます。

2.個人再生や自己破産は裁判所を通して手続きを進めていくことになりますので、裁判所に提出する必要書類をご本人様に用意して頂く等、ご本人様の協力なしでは手続きを進めていくことはできません。従って、任意整理に比べると手続き上の負担は大きなものとなります。しかし、任意整理とは違い、債権者の任意の協力を得ることなしに債務整理できる大きなメリットがあります。

森橋司法書士からひと言

債務整理の方針はどの手続きからでも、途中で方針を変更することができます。
任意整理は簡単な手続きがゆえに、安易に任意整理を選択しがちですが、本当に任意整理が最良の方法なのか一緒に考えて方針を決定していきましょう。

 

債務整理の流れ(全手続き共通)

 

1.債務整理のご相談(※各債権者への返済ストップ)

↓ 即日

2.各債権者へ受任通知及び取引履歴の開示請求通知の発送

↓ 約2週間~2か月

3.取引履歴が開示される

↓ 数日

4.法定利率に基づく計算を行い債務額を確定する

債務整理の方針(任意整理・個人再生・自己破産)はこの時点で変更可能。

再計算の結果、過払い金返還請求ができる場合は自動的に切替えます。

※相談日が返済日当日の場合は、当事務所から債権者へ直ちに電話連絡致します。当職が代理人になった旨連絡した後は、債権者から催促等の連絡はなくなります。

1.任意整理

任意整理は裁判所を通さず、消費者金融やクレジット会社等の債権者と任意に和解交渉をする方法です。
利息制限法で定める利率15%~20%を超える、本来であれば返す必要のない利息を払いすぎていたような場合には、減額交渉を行います。利息を払いすぎてお金が戻ってくる場合、いわゆる過払い金が生じる場合には、債権者に対して返還請求を行います。
また任意整理手続き中は、債権者は本人と連絡を取ることはできず、支払いもストップします。

任意整理の手順としては、
1.各債権者に司法書士が代理人となった旨の通知を出し、ご本人様と債権者との取引履歴を取り寄せます。
2.取引履歴から利息制限法を超える払いすぎた利息がないか計算し、本来返すべき金額を確定します。
3.確定した金額を、将来利息0%にして、3年から5年の間で返済する計画案に基づき、各債権者と和解を整えていきます。
4.各債権者と和解契約書と取り交わし終了となります。

 

こんな方には任意整理をオススメします

  • 家族に内緒で手続きをすすめたい。
  • 返済をするために借入れをしている。
  • 支払い(取り立ての電話)をストップして借金と向き合う時間がほしい。
  • 借金の総額が100万円程度である。
  • 亡くなった被相続人に借金がある。

2.個人再生

個人再生とは、将来において継続して収入を見込める者が、裁判所に申立てをすることによって、法律で定められた最低弁済額以上かつ清算価値以上の金額を原則3年間返済することによって、残りの債務を免除する手続きをいいます。住宅ローン特則を利用することによって、住宅ローンのみ返済を続けながら、他の債務のみ一部免除することができます。

法律で定められた最低弁済額の計算方法は、やや複雑であるが、概ね5分の1程度になると考えて頂ければわかりやすいかと思います。(給与所得者等再生は除く。)

清算価値以上の金額とは、破産した場合の配当よりも多く支払わなければならないということです。

自己破産でなくて、個人再生を選択する理由として多いのは次のケースです。

1.自己破産手続きで免責不許可があきらかで債務が免除されない場合において、免責不許可事由が問題とならない個人再生手続きを選択する

2.自己破産手続きでは自宅を残すことができないため、自宅を守るために住宅ローンをそのまま支払いながら、他の債務の一部を免除する個人再生手続きを選択する

3.自己破産

自己破産とは、借金の支払いが不能である者が、裁判所に申立てをすることによって、

1.一定以上の価値のある財産※①を債権者に分配した上で、

2.免責を受ける※②ことで、全ての借金(税金など除く)の支払義務を免除する手続きをいいます。

 

※①一定以上の価値のある財産とは、概ね時価が20万円以上(現金を除く。)のものを指します。どのようなものが当てはまるのか下の図で確認してみましょう。現金については50万円以上が当てはまります。

大阪地方裁判所の運用による一定以上の価値ある財産(現金を除く。)

1.普通預貯金以外の預貯金

2.生命保険等の解約返戻金

3.会社等の積立金

4.賃借保証金・敷金などの返戻金

5.貸付金・求償金など

6.退職金

7.不動産

8.自動車

9.自動車以外の動産(着物、貴金属、電器製品など)

10.1から9以外の財産(相続財産、株式、会員権など)

11.近日中に取得することが見込まれる財産

(交通事故の損害賠償金、財産分与など)

12.過払い金

 

※②免責を受ける(借金を0にする)ためには、免責不許可事由(例えば、借金の借入れ事由がギャンブルなど浪費である。)がないかどうか裁判所がチェックをします。免責不許可事由がある場合でも、その程度が低かったり、免責不許可事由に至った事情に理解が得られる場合などは、裁判所の判断で免責の許可をします。これを裁量免責といいます。

代表的な免責不許可事由

1.浪費(ギャンブル、商品購入、投機など)

2.廉価処分・・・信用取引により商品を購入し、これを著しく不利益な条件で処分すること(例えば、クレジットカードで商品券を購入し換金する行為)

3.偏頗行為・・・特定の債権者に対する、当該債権者に特別の利益を与えるまたは他の債権者を害する目的で、担保の提供または債務の消滅に関する行為(例えば、破産手続き中に知人にだけ返済を続ける行為)

4.詐術・・・破産申立ての1年前から破産手続開始決定までの期間に、他人の名前を勝手に使ったり、生年月日、住所、負債額または信用状態などに誤信させて、借金をしたり信用取引をする行為

5.再度の免責申立て・・過去7年以内に破産手続きで免責許可を得たことがある者の再度の免責申立て。または給与所得者等再生において再生計画が遂行された場合、その再生計画認可決定確定の日から7年以内の免責申立て

 

一定以上の価値のある財産が全くない場合には、同時廃止型の自己破産手続きとなり、通常であれば選任される破産管財人が選任されず、簡易に手続きが終了します。破産管財人が選任される破産手続きは管財型の自己破産手続きといいます。平成29年度に大阪地方裁判所の破産手続きに関する運営基準が変更されたため、管財型の自己破産手続きが増えることが予想されますが、個人の自己破産申立てはまだまだ同時廃止型になることが大半(7割~9割)かと思います。

 

森橋司法書士からひと言

破産手続きには、1.管財型 と 2.同時廃止型がある。
一定以上の価値のある財産がある場合は1.管財型となる。これが原則。
例外的に財産がない場合は2.同時廃止型といって簡易に破産手続きを進められる。
個人の破産は例外の同時廃止型となるケースの方が多い。(大阪地方裁判所の場合)

 

それでは、管財型と比べ簡易であるため依頼者へのメリットも大きい同時廃止型の破産手続きが、どのような手続きの流れになるのか見てみましょう。

 

一般的な自己破産手続き(同時廃止事件)の流れ

1.自己破産申立て

↓ 約2週間

2.審尋期日※

↓ 数日

3.破産手続開始決定・破産手続廃止決定

↓ 約2か月

4.免責許可決定

↓ 約1か月

5.免責許可決定の確定

※審尋期日とは、ご本人様が裁判所に出向き、裁判官と面談を行う日時のことです。裁判所に行くのは基本的に一度だけとなります。面談の内容は事前に提出している破産申立書の内容についてです。時間は5分から15分程度です。「2.審尋期日」は「3.破産手続開始決定・破産手続廃止決定」の後に行われることも多いです。

 

 

 

債務整理に関する費用

項目 報酬(税別) 実費
任意整理 1社30,000円

減額報酬はありません。

1社3,000円
過払金請求 和解交渉で得た額×15% なし
個人再生 住宅ローン特則なし 30万円

住宅ローン特則あり 40万円

印紙・予納郵券・予納金等
自己破産 24万円 印紙・予納郵券・予納金等

※費用は全て分割でのお支払いが可能となっております。
任意整理については減額報酬・成功報酬・事務管理手数料といった名目で追加の報酬は一切頂いておりません。

司法書士・弁護士事務所の選び方(注意点)

1.司法書士・弁護士が直接面談する事務所を選ぶ。
債務整理の手続きを受任するにあたっては、司法書士・弁護士ともに依頼人と面談することが義務付けられています。面談せず郵送だけで受任するような事務所はルール違反です。司法書士弁護士が対応せず事務員が全て手続きを行っている可能性があります。

2.債務整理を専門にしている事務所を選ぶ。
自己破産や個人再生するべきであるにもかかわらず、安易に任意整理をしている依頼者が後を絶ちません。依頼者が任意整理を望むことが多いのも事実でありますが、司法書士や弁護士が自己破産や個人再生手続きに精通しておらず、手続きが簡易な任意整理を選んでしまうケースが多いようにも思えます。
この結果、任意整理で和解したにもかかわらず途中で返済できなくなって、結局自己破産してしまうことになるならば、はじめから破産していれば無理に返済する必要はなかったことになります。人生は思っているより短いものです。借金から解放できる時期はできるだけ早くするべきでしょう。
専門家の視点から見ると自己破産や個人再生は旨みのない仕事といっていいかもしれません。なぜなら任意整理と比べ非常に労力がかかる割には報酬が少ないのです。それにもかかわらず、任意整理ではなく自己破産や個人再生をすすめる専門家は、本当に依頼者のことを考えて債務整理に取り組んでいるといっていいいのではないかと思います。
債務整理の方針として任意整理をとるとしても、前提として自己破産や個人再生の説明は充分すべきです。自己破産や個人再生は一般の方々が思うほどのデメリットはありません。きちんと債務整理全ての方針を依頼者が理解された上で最適な方針が選べる事務所をオススメ致します。従って、自己破産や個人再生の手続きに精通している司法書士弁護士がいる事務所を選びましょう。

3.費用報酬が明確な事務所を選ぶ。
任意整理の報酬の相場は着手金・減額報酬・成功報酬全て込みで3万から5万円です。口座管理料等よくわからない費用をとるところも注意です。あとで追加でかかる費用がないか依頼する前によく確認しましょう。