特例有限会社の監査役は監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨の登記をすることができるか?
答:登記することはできない。
解説
司法書士ならご存知だとは思いますが、株式会社の監査役について
平成27年5月1日から
「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨」が登記事項になりました。(会社法第911条第3項第17号イ)
大原則として
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社であるときは、その旨が登記事項とされる
従って、平成27年5月1日以降は
登記簿を見ることによって、その会社の監査役の監査の範囲がわかることになります。
ただし、経過措置があるので注意。
つまり、平成27年5月1日時点で法務局が自発的に監査役の監査の範囲が会計監査に限定されるのかされないのかを記載してくれる仕組みがあるわけではないので、申請人が順次申請していくことによって登記簿に反映されていく流れとなります。
順次申請っていつまでに?
平成27年5月1日以降に監査役がはじめて退任または新任する時に一緒に申請する形でよいということです。監査役の任期は10年まで伸長できますので、すべての監査役の監査の範囲が完全に登記簿に反映されるのはまだまだかかりそうですね。
ところで本題ですが、
監査役を置く有限会社の定款には、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めがあるとみなされている(会社法整備法第24条)ので、監査役の監査の範囲は会計に関するものに限定されている。
したがって、株式会社に適用される会計に関するものに限定する旨の登記の規定は有限会社には適用されません。(会社法整備法第43条1項)
ポイント
株式会社の監査役のみ2パターン
株式会社の監査役 1.監査の範囲が業務権限まである場合 2.監査の範囲が会計に関するものに限定されている場合 有限会社の監査役 1.監査の範囲が会計に関するものに限定されている場合のみ 株式会社の監査役は監査の範囲が会計監査に限定されているのか登記してくれないと第三者にわからないが、有限会社の監査役は法律により会計監査に限定されているとみなされるわけなのでわざわざその旨登記する必要がないというわけです。 |
※つけたし
ここで説明が終わればわかりやすいのですが、
有限会社が定款を変更して監査役の監査の範囲を業務権限まで拡大することができるかについては争いがあるようです。(ハンドブック第3版P587参照、中小会社・有限会社の新・会社法P211参照)