ある日突然裁判を起こされたら?
以前に消費者金融やクレジット会社から借入れされたことがある方が、返済しないままに数年の月日が流れました。
最初に支払いが遅れたときは連絡があったものの、無視を続けてしばらくすると全く連絡がなくなりました。
そして借りた事実もすっかり忘れてしまったころに、裁判所から書類が届くことがあります。
中身は訴状であったり支払督促であったりするかと思いますが、どちらであったとしても裁判を起こされたことに変わりはありません。
さらに中身をよく確認し裁判を起こしてきた相手方を確認すると、身に覚えのない貸金業者の名前が書いてあります。
「こんな貸金業者からお金借りたっけ?」
裁判所に出廷するように期日呼出状も一緒に入っていますが、出廷しなければならない場所はここ大阪から遠く離れた東京簡易裁判所です。(支払督促の場合は出廷する必要がないため期日呼出状は入っておりません。代わりに異議申立書が入ってます。異議申立てすると通常訴訟に移行し、裁判が起こされた場合と同じようになり、あらためて後日期日呼出状が送られてきます。)
「訴状(又は支払督促)に書かれている金額はとても払える金額じゃないし、東京まで行く時間もお金もない。今まで無視してうまくいってたし今回も無視してしまおう。」
こう思ってしまう方もいるかもしれませんが、これは絶対にやってはいけません。
なんで身に覚えのない貸金業者から請求が来るの?
原因はいろいろありますが、
1.単純に会社名が変わった場合
2.組織変更(合併吸収等)により会社名が変わった場合
3.保証会社が代位弁済した場合(例:三菱東京UFJ銀行のカードローンの返済が滞り、保証会社であるアコムが代位弁済している等)
4.もともと借入れをした貸金業者が債権譲渡した場合
が考えられます。
1から4のどの場合であったとしても、訴状や支払督促をしっかり読むと最初に借入れをした貸金業者の名前が書いてあるはずですからそこをチェックし、借入れした事実が間違いないか確認してください。10年前とは大部分の貸金業者の名前が変わってしまっておりますので、借入れした事実が間違いなければ名前の変更それ自体は気にしなくて大丈夫です。
但し、4の場合は次にあげる時効主張できるケースが多いので注意して下さい。
裁判所に行っても、どっちみち一括で返済できるお金がないし、無視した方がいいんじゃないの?
先ほど申し上げた相手方が身に覚えのない貸金業者である理由が4の場合によくあることですが、既に借金が消滅時効にかかっていることがあります。
消滅時効は、貸金業者等との借金の場合は最終取引日から5年です。
つまり、返済が滞ってから現在に至るまで一度も返済していなければ、最後に返済した時から5年が経過しておりますので時効主張することができます。返済が滞ってから一度でも返済してしまうと、そこから新たに5年となりますので注意です。
返済が滞り5年が経過すると、最初に貸付けをした貸金業者は借金を回収することをあきらめ、別の債権回収会社に借金回収を丸投げすることがあります。
そして、新しく債権(借金を回収する権利)を取得した債権回収会社が裁判を起こしてくるわけです。
借金の消滅時効は5年が経過して自動的に消滅するわけではありませんので、
きちんと裁判上で主張しなければ時効を主張できる機会を失ってしまいます。
従って、裁判を無視してしまうと、時効を主張できる機会を失い、判決が確定するともはや時効主張できなくなります。判決が確定するとそこから10年間は新たに時効主張できません。
時効主張できなくて裁判の内容に争いがない場合は、無視した方がいいの?
借入れした事実が間違いなく、消滅時効にもかかっていないケースであったとしても、
裁判を無視してはいけません。
裁判を無視して判決が確定してしまうと、一括請求されるうえに給与差押えをされる可能性があります。きちんと対応すれば、ほとんどの貸金業者が分割で返済する内容の和解に応じてくれます。将来利息をカットしてくれるケースも多いです。
従って、可能な限り裁判には出廷し、遠方であれば少なくとも答弁書は提出するべきです。支払督促の場合は、異議申立書を必ず出しましょう。
裁判を無視してしまうデメリット(まとめ)
1.時効主張できる機会を失い、裁判が確定してしまう。
2.分割和解できる機会を失い、裁判が確定してしまう。
3.裁判が確定してしまうと給与差押えをうける可能性が起こります。
裁判を起こされた場合に、裁判上時効を主張したり、和解することに不安を抱える方も多いかと思います。こういった場合には、ぜひお近くの専門家(司法書士、弁護士)にご相談されることをオススメします。