認知した子をばれずに隠し通す方法はあるのか?

結論から申し上げますと認知を隠し通せる確実な方法はありません。

その場しのぎで認知の発見を遅らせたりすることはできますが(後述参照)、

後で確実にばれますのでお勧めできません。

※唯一認知した子以外に相続させる旨の「公正証書遺言」を作成した場合には、

必要書類だけを考えるとばれない可能性もありますが、後述するリスクを考えますと、

事前に認知の事実を家族に伝えておくべきでしょう。

事前に認知した子の存在を家族に伝えた上で「公正証書遺言」を作成すること自体は、

強くお勧めします。

 

子供を認知すると父親の戸籍はどうなるの?

父親が子供を認知すると父親の戸籍に次のような認知した事実が追加記載されます。

「平成〇〇年〇月〇日大阪府茨木市〇〇町〇〇番地田中美雪同籍小雪を認知届」

これを認知事項といいます。

認知事項を消したいのであれば、

転籍(新たな本籍地を設定すること。)すれば、

新しい戸籍にはこの認知事項は記載されません。

なお転籍するための新しい本籍地は全国どこにでもできます。(住民票と違い、実際に住んでいる必要はありません。)

そしてその後、新たにパートナーが見つかり婚姻することになったならば、

婚姻届の際に提出する戸籍は現在のものだけ提出することになりますので、(提出先の市町村役場に本籍地があるなら戸籍の提出は省略できます。)

婚姻前に前述の方法で転籍しておけば、現在戸籍を婚約者に確認されても認知した子の存在はわからないでしょう。

 

なんで認知したことがばれちゃうの?

転籍する方法で戸籍から認知事項を消せたとしても、

除籍(転籍前の戸籍のこと。)にはしっかりと認知事項が記載されたままです。

現在戸籍を見るとどこから転籍されてきたのか容易にわかりますので、

その気になれば除籍で確認することが可能です。

家族(妻や子供など)であれば父親の除籍をとることができます。

従って家族であれば、認知している隠し子がいるかどうかは簡単に調べることが可能です。

戸籍を請求できるかたは、次のとおりです。
1.請求する戸籍に記載されているかたまたはその配偶者、直系親族のかた
(兄弟・姉妹でも、同じ戸籍に記載されていない場合は委任状が必要)
2.委任状を持っているかた(委任状は下記の「委任状」よりダウンロードできます)
3.上記以外のかたで、戸籍謄本等を請求するにあたり正当な理由があるかた
(請求理由について、具体的に申請書にお書きいただきます)

茨木市役所のホームページより抜粋

とはいっても、家族が除籍をとることはよほどでない限りないでしょう。

では、いつばれてしまうのか?

それは父親が死亡したときです。

父親が死亡したときには、相続人が誰であるか確定するために

父親の出生から死亡までのつながる戸籍除籍原戸籍全部を取得します。

転籍前の除籍も当然含まれておりますので、ここで認知した子がいることが判明します。

また認知の事実が判明するだけではなく、

認知した子は父親の相続人ですので、

その後の相続手続きに密接にかかわってくることになります。

父親の相続人が妻と子1人に加えて認知したもう一人の子1人であるケースは、

認知した子の法定相続分は4分の1となります。

妻は2分の1、妻の子は認知した子と同じく4分の1となります。

例え認知した子が遺産をいらないといっても遺産分割協議書に実印で署名捺印してもらわないことには不動産や銀行預金の名義変更はできません。

なぜなら遺産分割協議書は相続人全員で協議しなければ無効だからです。

認知した子と残された遺族がどういった気持ちでこのやりとりを行うのでしょうか?

このやり取りを避けるためには公正証書遺言を作成しておくことが極めて有効です。

 

公正証書遺言を作成していた場合

父親が亡くなり相続人が妻と子Aと認知した子Bであったとします。

父親が亡くなる前に公証役場で、

妻と子Aに全ての遺産を相続させる内容の公正証書遺言を作成していた場合には、

遺産分割協議書を作成する必要はありません。

つまり子Bの遺産分割協議書への署名捺印などは不要です。

不動産の名義変更に関していえば、戸籍についても父親の死亡がわかる除籍と

受遺者が相続人であることがわかる戸籍のみが必要で、

父親の出生から死亡までのつながる戸籍が全部必要ではありません。

従って、もしかしたら認知の事実が判明せず手続きが行われてしまう可能性も否定できません。

しかし、妻と子Aに全ての遺産を相続させる内容の公正証書遺言を作成したとしても、

子Bには遺留分があることを忘れてはいけません。

遺留分とは、最低限相続できる権利(法定相続分の2分の1)のことです。

今回のケースでいえば子Bの法定相続分は4分の1ですので、遺留分は原則8分の1となります。この遺言で相続された遺産に対しての8分の1については、子Bから遺留分を主張される可能性が将来にわたってあります。

遺留分を主張できる権利(遺留分減殺請求権)の消滅時効は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年です。また当該事実を知らなくとも、相続開始の時から10年を経過すれば時効消滅します。

従って、父親が亡くなってから10年近く経過した後に子Bから遺留分を請求される可能性があるというわけです。

また、銀行預金の名義変更では相続人全員の実印での署名捺印を要求する金融機関もあります。この場合には、原則通り父親の出生から死亡までの戸籍全部を取得し金融機関に提出しなければなりません。

以上を踏まえると、認知を隠し通すのは現実的ではないでしょう。

認知するということは、法的に親子関係を生じさせるものです。

認知している以上、隠すという発想そのものに違和感を持たずにはいられません。

一番良い方法は、認知した子がいることを今一緒にいる家族に伝えた上で、

自分が死んだ後に、認知した子とその他の家族が直接話し合うことがないように

公正証書遺言で遺産の分け方を決めておくことです。

なお、遺言書が公正証書遺言でなく、自筆証書遺言の場合は裁判所の検認手続きが必要であるため、裁判所が相続人全員へ遺言書の検認日時を通知をします。申立人を除く相続人の出席は任意となります。