例えば、母は既に死亡しており、先日父が亡くなった場合において、相続人がその子供である3人であったとします。

子供のうち一人が他の相続人である2人と遺産分割の話し合いをしたいのですが、他の兄弟とは長い間、音信普通となっており、どこに住んでいるのかもわからず、連絡をとることができないとき、どうしたらよいか?という問題が起きます。

こういった場合には、他の相続人の現在の住所を調べることにより、連絡をとることができるケースがあります。現在の住所は、戸籍の附票を取り寄せることにより判明することができます。

戸籍の附票とは住民票と同じく、住所を証明する書類となります。

住民票は住所のある市町村に対して請求することに対し、
戸籍の附票は、本籍地がある市町村に対して請求することになります。

例えば、他の相続人の住所が茨木市にあり、本籍地が高槻市になるならば、
住民票は茨木市に請求し、戸籍の附票は高槻市に請求することによって取得することができます。

もちろん住民票や戸籍の附票は誰でも取得できるわけではありません。
戸籍を請求できる者は、戸籍法に定まっております。
「本人の配偶者、直系尊属(両親、祖父母など)、並びに直系卑属(子供、孫など)」となります。

「あれ、兄弟が入ってないぞ。」となりますが、

正当な事由があれば、通常請求できない兄弟でも戸籍を取得することができます。

今回の場合であれば、正当な事由として、「相続が発生したことにより相続人を特定するために必要である。」旨を市町村に説明すれば取得できます。

正当な事由を証する書面として、「被相続人である父が死亡したことを証する書面と請求する者と取得する相続人との関係を証する書面」が必要となるでしょう。
具体的には、
被相続人である父が死亡したことを証する書面として、父の「除籍謄本」
取得する相続人との関係を証する書面として、請求する者の「戸籍謄本」及び「本人の身分確認書類(免許証等)」
となります。

ここで説明を終わってしまうと、
「兄弟の戸籍の附票を請求して、住所を調べることはわかった。でも、そもそも兄弟の本籍地はどうやって調べるんだ?兄弟の住所がわからないのに本籍地がわかるわけない。」
とおしかりを受けてしまいます。

住所がわからないのなら、当然本籍地もわからないのが通常です。

わかっているのは、被相続人である父の本籍地だけだろうと思います。

このような場合に兄弟の戸籍の附票を取得するまでの流れは次のようになります。

まずは、被相続人父の本籍地をたよりに、

1.被相続人である父の出生から死亡までのつながる戸籍除籍原戸籍謄本を全て取得します。出生から死亡まで全て取得するのは、念のために隠し子がいないかを調べるためです。父の出生から死亡までの戸籍等を全部取得すれば、子供である相続人全員の転籍先が判明しますので、転籍先の市区町村にそれぞれ戸籍を請求していくことになります。転籍先からさらに転籍している場合は、最新の戸籍まで辿っていく必要がありますので注意しましょう。

2.最新の戸籍を取得することができれば、それに附随している戸籍の附票を併せて取得することになります。