代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは相続人が被相続人(故人)より先に亡くなっているために、その相続人の子が代わりに相続することをいいます。

 

下記家系図をご覧ください。

被相続人Aは、生前、養子Bと養子縁組をしておりました。被相続人Aが死亡した時には、養子Bは既に亡くなっていた場合、養子Bの子供であるDが代襲相続できるかが問題となります。なお、被相続人Aの配偶者は既に亡くなっているものとします。
 
 

養子と養子の子供の家系図

Dは代襲相続できる場合と、できない場合があります。

Dが養子縁組をした日付より前に生まれていた場合には、Dは代襲相続できません。
Dが養子縁組をした日付の後に生まれていた場合には、Dは代襲相続することができます。

この根拠は判例です。
(大判大6.12.26)(大判昭7.5.11)

養子縁組により親族関係が発生することについて、民法では次のとおり定めており、養親及びその血族と養子の血族との間に親族関係が発生するかについては定めておりません。

 

民法第727条(縁組による親族関係の発生)
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。

 

上記家系図のケースにおいて、Dが養子縁組後に生まれていた場合、被相続人Aの相続人は誰になる?相続分割合は?

Dが養子縁組をした後に生まれた子供であればDは養子Bの代襲相続人となりますので、被相続人Aの相続人は実子CとDになります。養子と実子の相続分に差はないため、相続分はC及びD、各2分の1ずつとなります。

 
 
 
  
 
 

どうでしたか?ちょっと意外ではなかったですか?
養子縁組をしても、養親及びその血族と、養子の血族である兄弟や実親との間に親族関係が生じないのは当然だと思いますが、養子の子供も親族関係が生じないことに対しては、少し違和感があります。みなさまはどのように感じたでしょうか?

なお、本記事の養子縁組は養子が縁組することによって実親の相続権を失う特別養子縁組のことではありません。養子は実親の相続に関しても相続人となる普通養子縁組のことを指しております。