養子が養親と離縁することなく、新たに、別の養親の養子となることができるのか?

結論から申し上げると、「できます。

養子として迎え入れたこどもが、その縁組を解消することなく、別の養親の養子になることを「転縁組」といいます。

「転縁組」のイメージ

「転縁組」の場合、「養子」※は、「実親」、「1番目の養親」及び「2番目の養親」いずれの相続においても、「相続人」となりますので注意が必要です。

本記事で申し上げる「養子」とは「普通養子」を指し、実父母血縁親族との関係が終了する「特別養子」のことを指しておりません。

転縁組は戸籍ではどのように表示されるのか?

養子縁組(転縁組)の戸籍

転縁組をした養子の現在の戸籍を取得し、「戸籍に記載されている者欄」の「養父母欄」を確認すると、「2番目の養父母」の氏名しか記載されておらず、「1番目の養父母」の氏名が記載されておりません。

しかし、戸籍の身分事項欄を確認すると、「1番目の養父母」と養子縁組をした事実及び「2番目の養父母」と養子縁組をした事実が成立年月日順に記載されていることがわかります。

このように、戸籍実務においては、「戸籍に記載されている者欄」の「養父母欄」には最終の養父母の氏名しか記載されない扱いとなっています。これを知らない人が転縁組の戸籍を見ると、「養父母欄」に「1番目の養父母」の氏名がないことから「1番目の養父母」との関係が終了しているのではないかと思ってしまうかもしれません。

「養父母欄」に「1番目の養父母」の氏名がなくとも、「身分事項欄」を確認して、養子縁組をした事実がしっかりと記載されているならば、当該養父母とは離縁しておらず関係は継続しているということになるわけです。

司法書士でもこの辺をしっかり説明できる人は少ないのではないでしょうか。私も最初に「転縁組」した養子の戸籍を確認したときは、なぜ最終の養父母の氏名しか「養父母欄」に記載されないのか疑問に思って不安になりましたから。