「代襲相続」「数次相続」、どちらも被相続人を本来相続すべき相続人が、遺産分割協議をするまでに死亡してしまったため、その者に代わる新たな相続人が発生している状態をいいます。

混同しやすい「代襲相続」「数次相続」ですが、

どちらになるのか決定づける要因は、

相続人が死亡したのが被相続人の死亡の前なのか?後なのか?です。

すなわち、

「代襲相続」は、相続人が被相続人の死亡に亡くなっている場合、

「数次相続」は、相続人が被相続人の死亡に亡くなっている場合を指します。

 

そして、「代襲相続」「数次相続」の違いで最大の注意すべきポイントは、

「代襲相続」は、本来相続すべき者の子や孫が相続人になるのに対し、

「数次相続」の場合は、本来相続すべき者の相続人全員が相続人となります。

「代襲相続」よりも「数次相続」の方が相続人の範囲が広がっているイメージを持っていただければわかりやすいかと思います。

「代襲相続」の場合は、子や孫がいなければ、代わりの相続人は発生しませんが、

「数次相続」の場合は、子や孫がいなくとも、配偶者、親、兄弟などが代わりの相続人となる可能性があるというわけです。したがって、「数次相続」が発生している場合は、慎重に相続人調査をする必要があるでしょう。

 

事例で確認してみよう。

「代襲相続」の事例

代襲相続の説明図

 

被相続人が平成28年4月1日に死亡、長男が平成25年8月1日に死亡していたため、孫が「代襲相続」したケースです。この場合の相続人は、次男及び2名となります。

 

「数次相続」の事例

数次相続の説明図

被相続人が平成28年4月1日に死亡、長男が平成30年8月1日に死亡したため、長男の法定相続人である長男の妻及び孫が「数次相続」したケースです。「代襲相続」の場合とは異なり、長男の妻が新たに相続人として加わります。その結果、相続人は、次男長男の妻及び3名となります。

 

大多数の相続人がいるケースでは、「代襲相続」「数次相続」が発生しているケースは非常に多いです。被相続人の死亡前に亡くなっているのか?死亡後に亡くなっているのか?に注目し、「代襲相続」なのか?「数次相続」なのかしっかり見極めることが大切です。