多くの金融機関は住宅ローンの借入れの条件として、団体信用生命保険(いわゆる「団信」と呼ばれるもの)に加入するようにしております。

 団信とは、住宅ローンの返済途中に債務者が死亡してしまった場合に、債務者である本人に代わって保険金で住宅ローンを完済するというものです。この団信のおかげで、通常住宅ローンが借金として相続される場合はほとんどありません。団信に加入しているかどうかわからない場合は、住宅ローンの借入れをした金融機関に確認するとよいでしょう。

 金融機関がわからない場合は、住宅の不動産登記事項証明書を法務局で取り寄せます。不動産登記事項証明書を確認すると住宅ローンの担保として抵当権が設定されているはずですから、そこから判明する抵当権者から借入れをした金融機関の予想がつきます。

 金融機関に連絡をして、無事団体信用生命保険より住宅ローンが完済されると、金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類一式が郵送されてきます。登記に必要な書類一式とは、

1.抵当権解除証書(または弁済証書)
2.登記済証または(登記識別情報)
3.委任状
4.抵当権者の会社法人等番号が記載された書面

です。

1「抵当権解除証書(または弁済証書)」は、「登記済証に平成〇〇年〇月〇日解除と奥書し、抵当権者が記名押印したもの」であることも多いです。この場合は1及び2が同じ書面となります。また「抵当権解除証書」は抵当権の「受付年月日・受付番号」及び「解除した日付」が空白のままとなっている場合には、「受付年月日・受付番号」は登記事項証明書または登記済証(登記識別情報)で確認、「解除した日付」は金融機関に確認しましょう。

 
3「委任状」は金融機関から抵当権抹消登記を申請される相続人の方へ一任する形となります。委任される方の住所氏名が空白になっているかと思いますので、そちらに申請される相続人の方の住所氏名を記載して頂くことになります。

抵当権抹消登記を申請する前に必ず相続登記を申請しましょう。

住宅ローンを完済したのは相続の後になりますから、抵当権抹消登記申請の前提として相続人に所有権登記名義人を変更する相続登記を申請することになります。相続登記と抵当権抹消登記を同日付で連件(1件目に相続登記、2件目に抵当権抹消登記)で申請するのがよいでしょう。

 

基本的な手続きの流れ

 

1.相続開始

2.金融機関に連絡

3.保険会社へ保険金請求手続きを行う

4.団体信用生命保険に基づく保険金の支払い

5.故人から相続人へ所有権移転登記

6.抵当権抹消登記