任意整理とは?

任意整理とは債務整理の方法の一つです。

(借金を)任意に整理するという名前の通り、

裁判所を介することなく、また法律に基づくことなく

司法書士または弁護士が依頼人の代理人となって各貸金業者と任意の交渉します。

任意整理の最大の目的は返済における将来利息をカットすることです。

しかし、将来利息のカットを強制する法律はありませんので、

各貸金業者が将来利息のカットに応じない場合は、

自己破産や個人再生といった裁判所を介した手続きに基づき解決を目指すことになります。

従って、任意整理はあくまで各貸金業者の協力の上で成り立っているといえます。

 

将来利息をカットすることによる経済的なメリットは?

例えば、借金50万円を利息18パーセントで3年間返済し続け完済したとします。

その場合の返済額総額は、

1万8100円×35回+1万7273円=65万773円

となります。

これに対し、将来利息をカットすると

返済する総額は50万円ですから

任意整理で得られる経済的なメリットは

65万773円ー50万円=15万773円となるわけですね。

任意整理をするためには

司法書士または弁護士の報酬が3万円程度かかりますが

その分を考慮してもなおメリットはあるといえるでしょう。

 

しかし、借金20万円の場合はどうでしょうか?

こちらも利息18パーセントで3年間で完済したとします。

その場合の返済する総額は、

7200円×35回+8743円=26万743円

となります。

将来利息をカットすれば返済する総額は20万円ですので、

26万743円ー20万円=6万743円

6万743円が経済的なメリットになります。

司法書士または弁護士報酬が3万円程度であればメリットがあるとかろうじていえそうですが、

報酬が6万円もするようだと経済的なメリットはないといっていいでしょう。

また任意整理した場合の返済方法ですが、

任意整理する前にはローンの返済に使用できた、貸金業者のローンカードがATMで使えなくなることによって、

毎度毎度貸金業者の銀行口座へ振込みしないといけなくなります。(そのままカードを使える貸金業者もあります。)

そうなると振込手数料も馬鹿になりません。

めんどくさいからといって、

この返済の送金手続きを司法書士や弁護士に依頼するなんてもってのほかです。

これらのサービスを無料でするわけないでしょうから余計に費用がかさばるのは明らかです。

 

 任意整理の経済的メリットを考える大切さ

複数の貸金業者から借金がある場合の任意整理において、

こっちは経済的なメリットがあるから任意整理する、

こっちは経済的なメリットがないから任意整理しないといったことは、

債権者平等の原則に反しますので基本的にはできません。

また、任意整理するかどうかにおいて

経済的なメリットがあるかどうかだけで判断することは適切ではありません。

しかし、司法書士や弁護士の報酬が適正であるか、

任意整理が債務整理の方針として妥当かどうか検討するうえで、

今回取り上げた任意整理の経済的なメリットについて

依頼者が熟考することは、依頼者にとって大変なメリットがあるといえるでしょう。