親が亡くなれば、その子が相続人となります。

もし親が亡くなるより前に、

その相続人である子が先に死んでしまっていたら、

その子の子である孫が代わりに相続することになります。

これを代襲相続といいます。

 

代襲相続の具体例として、

親である父が平成30年5月に亡くなったとします。

父の相続開始時点で既にその子は亡くなっておりました。

この場合、下記の図のとおり孫2人が子に代わって母とともに相続人となります。

 

代襲相続

 

さてここからが本題となります。

亡父が下記のように一切の財産を子に相続させる旨の遺言書を残していたが、先ほどと同様に父が亡くなるときに既に子は亡くなってしまっていたとします。

この場合も先ほどの相続の場合と同様に、代襲相続により、子の子である孫達が財産を受け取ることができるのでしょうか?あるいは、遺言の効力そのものが失われてしまうのでしょうか?

 

遺 言 書

 

 遺言者である私、〇〇 〇〇は、以下のとおり、遺言をする。

 

 第1条(不動産の相続)

 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を、遺言者の子、〇〇 〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。

 不動産の表示

所  在   茨木市〇〇町
地  番   〇番
地  目   宅  地
地  積   87.45㎡

 第2条(その他一切の財産の相続)

 遺言者は第1条記載の財産を除くその他一切の財産を、遺言者の子、〇〇 〇〇に相続させる。

平成〇〇年〇月〇日

 

大阪府茨木市〇〇町〇〇番
遺言者〇〇 〇〇 ㊞

 

この点、遺言につき代襲相続が認められるかどうかにつき、

最高裁判所は平成23年2月22日判決で次のように述べております。

 

「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはないと解するのが相当である。

最高裁判所HPより引用 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81092

 

つまり、

原則、遺言の効力は失われ、代襲相続は生じないとして、

例外的に、特段の事情がある場合にのみ、代襲相続を認めるとしております。

通常の相続の場合と異なり、

原則として代襲相続は認めないことになります。

従って、もし遺言者が、

「遺言書に記載した相続人が自分より先に死亡した場合にはその子供達に相続させたい。」

と考えているならば、遺言書には次のような予備的な文言を加えるべきといえるでしょう。

 

 

遺 言 書

 

 遺言者である私、〇〇 〇〇は、以下のとおり、遺言をする。

 

 第1条(不動産の相続)

 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を、遺言者の子、〇〇 〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。

 不動産の表示

所  在   茨木市〇〇町
地  番   〇番
地  目   宅  地
地  積   87.45㎡

 第2条(その他一切の財産の相続)

 遺言者は第1条記載の財産を除くその他一切の財産を、遺言者の子、〇〇 〇〇に相続させる。

 第3条(予備的遺言)

 遺言者は、前記 〇〇 〇〇 が、遺言者の死亡前に死亡し、又は遺言者と同時に死亡したとき(同時死亡と推定されるときを含む。)は、第1条ないし第2条で前記 〇〇 〇〇 に相続させるとした財産を、前記 〇〇 〇〇 の長男 〇〇 〇〇(昭和〇〇年〇月〇日生)及び長女 〇〇 〇〇(昭和〇〇年〇月〇日生)に、それぞれ2分の1の割合で相続させる。

平成〇〇年〇月〇日

大阪府茨木市〇〇町〇〇番
遺言者〇〇 〇〇 ㊞