相続登記に相続放棄受理通知書が使えるか?

従前は、相続登記には「相続放棄申述受理証明書」が必要でしたが、

現在は「相続放棄受理通知書」で登記申請することが可能となりました。

 

相続を原因とする所有権の移転の登記の申請において、

相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載された

「相続放棄等の申述有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書」や

「相続放棄申述受理通知書」を登記原因を証する情報の一部とすることができる。

(平成27年登記研究808号)

 

相続登記に相続放棄者の現在戸籍は必要か?

相続登記には、相続を証する情報として、相続放棄者の現在戸籍が必要となります。

但し、「相続放棄申述書謄本」を添付した場合においては、

相続放棄者の除籍事項中の新本籍地・氏等と

相続放棄申述書謄本記載の本籍地・氏等とが符合しているときは

相続放棄者の現在戸籍の添付は必要ありません。(登記研究127号参照)。

したがって、

1.「相続放棄受理通知書+現在戸籍」

2.「相続放棄申述受理証明書+現在戸籍」

あるいは、

3.「相続放棄申述書謄本」

上記いずれかの組み合わせが

相続人に相続放棄者がいる場合の相続登記における添付書類となります。

 

「相続放棄申述書謄本」を添付すると、

現在戸籍を省略することができ利便性がありそうに感じますが、

例えば「相続放棄申述書謄本」を大阪家庭裁判所に交付請求すると

450円(申請書の枚数によってはそれ以上)の費用がかかり、

現在戸籍を取得するための費用450円と変わりません。

家庭裁判所に交付請求する手間もかかりますので、

相続登記のためだけに「相続放棄申述書謄本」を取得するメリットはないでしょう。

相続放棄申述の申立てをする際に相続放棄者の現在戸籍は取得しますので、

この際に※相続登記の分の現在戸籍も請求しておくのが一番よいでしょう。

※大阪家庭裁判所は戸籍の原本還付はほぼ認められないからです。京都家庭裁判所は原本還付できます。

 

 

「相続放棄受理通知書」、「相続放棄申述受理証明書」、「相続放棄申述書謄本」のちがい

相続放棄受理通知書

相続放棄申述の申立てを行い手続きが無事終了すると当然に送付されるものです。

別途家庭裁判所に交付請求する必要はありません。

対外的な証明書ではありませんが、相続登記に使用することができます。

被相続人の借金を理由に相続放棄したケースでは、

債権者に相続放棄をしたことを証する書面として、

こちらの相続放棄受理通知書を見せることで事足りることも多いです。

 

〒〇〇〇-〇〇〇〇

住所 〇〇〇〇

氏名 〇〇〇〇 様

通  知  書

事件番号 〇〇家庭裁判所 平成〇〇年(家)第〇〇〇〇〇号

事 件 名 相続放棄申述事件

申 述 人  〇〇〇〇

被相続人 〇〇〇〇

平成〇〇年〇月〇〇日申述人の被相続人に対する相続放棄の申述を受理したので通知します。

この通知書は大切に保管して下さい。被相続人の債権者から借金等の返済を求められた場合は、本書を提示して下さい。現在、被相続人の債権者から返済の請求を受けている場合は、相続放棄の申述が受理されたことを連絡して下さい。裁判所から債権者等に連絡することはありません。

また、あなたの他の相続人や、あなたが相続を放棄したことによって新たに相続人になった人がいれば、あなたの相続放棄申述が受理されたことを連絡してあげるのが親切です。相続放棄の申述は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内にする必要があります。

なお、手続費用(これまでに本手続のために支払った印紙代や切手代等)は申述人の負担とされました(新たに何らかの費用負担を求めるものではありません)。

本件につき予納を受けた郵便切手の使用残額を返還します。

〇〇家庭裁判所

裁判所書記官 〇〇〇〇 印

 

相続放棄申述受理証明書

対外的に相続放棄をしたことを証明する文書となります。

相続放棄申述の申立てが完了しても自動的に交付されるものではありませんので、

取得するためには、相続放棄申述の申立てとは別に家庭裁判所に交付請求する必要があります。

費用は1通あたり150円必要となります。

銀行等は、相続放棄をしたことを証する書面として

こちらの相続放棄申述受理証明書を要求してくることが多いです。

下記のとおり、内容は相続放棄受理通知書とほとんど同じですが、相続放棄受理通知書には記載のなかった被相続人の本籍地の記載があります。被相続人の本籍地の記載があることから、相続放棄者の現在戸籍の添付がなくとも法務局によっては相続登記の申請が通ることもあるようです。

 

証  明  書

事件番号 〇〇家庭裁判所 平成〇〇年(家)第〇〇〇〇〇号

申 述 人  氏 名 〇〇〇〇

被相続人 本 籍 〇〇〇〇〇〇〇〇

     氏 名 〇〇〇〇

平成〇〇年〇月〇〇日、申述人の被相続人に対する相続放棄の申述を受理したことを証明する。

   平成〇〇年〇月〇〇日

    〇〇家庭裁判所

     裁判所書記官 〇〇〇〇 印

 

相続放棄申述書謄本

対外的に、相続放棄申述の申立てをした際の、

相続放棄申述書の内容を証明するものとなります。

取得するためには、相続放棄申述の申立てとは別に家庭裁判所に交付請求する必要があります。

費用は1通あたり150円です。通常3枚以上となりますので少なくとも450円はかかります。

「相続放棄申述書謄本」は、実際に提出した相続放棄申述書の写しに以下の文書を綴り合せて証明してくれます。

 

 平成〇〇年(家)第〇〇〇〇〇号

  1 本件申述はこれを受理する。

  2 手続費用は申述人の負担とする。

   平成〇〇年〇月〇〇日

    〇〇家庭裁判所家事第〇部

     裁判官 〇〇〇〇

  これは謄本である

    平成〇〇年〇月〇〇日

  〇〇家庭裁判所

   裁判所書記官 〇〇〇〇 ㊞

 

証明するのは下記の相続放棄申述書に実際に記載した内容となります。

どのような情報が証明されるのか確認しておきましょう。
相続放棄

相続放棄申述書