公証役場で遺言書を作成するためには、

1.ご自身で直接公証役場に依頼する場合と、

2.司法書士などの専門家を介して公証役場に依頼する場合

があります。

1.ご自身で直接公証役場に依頼する場合は、専門家に支払う報酬を節約できるという経済的な大きなメリットがあります。しかし、公証役場は遺言書の書き方については親切に教えてくれますが、どうやって遺産を分けたらよいのか具体的な相続対策に関することについては教えてくれません。中立である公証役場の立場上相談に応じることができないからです。

遺言を作成する際には、「どのように遺産を分けたら将来的な相続人間の争いを避け、かつ遺言者の希望に沿うことができるのか」じっくり対策を練る必要があります。遺言内容が相続人の遺留分を侵害し、相続人間のトラブルを引き起こしてしまうことはよくあることです。また、対象となる相続財産には何があるのか調べることも大切です。特に遺言の対象に不動産が含まれる場合には、不動産に漏れがないかチェックする必要もあります。マンションなどでは集会所や駐車場の共有持分、土地では私道部分が漏れがちです。2.司法書士などの専門家を介して公証役場に依頼する場合は、これらのリスク対策をしっかりしてくれるというメリットがあります。また、公証役場との事前の打ち合わせはすべて専門家がしてくれること遺言作成のために必要となる書類も専門家が収集してくれることもメリットといえるでしょう

 

それでは、本日のテーマである公正証書遺言を作成するために必要となる書類を見ていきましょう。

 

公正証書遺言を作成するために必要な書類一覧

1.ご自身で直接公証役場に依頼する場合も、2.司法書士などの専門家を介して公証役場に依頼する場合も、公正証書遺言を作成するために必要となる書類は同じです。

 

(共通して必要な書類)

▢ 遺言者の印鑑証明書(3ヶ月以内発行のもの)

▢ 実印

▢ 遺言者の本人確認書類(免許証など)

 

(推定相続人に相続させる場合)

▢ 遺言者及び当該推定相続人の現在戸籍(3ヶ月以内発行のもの)
※推定相続人が第2順位(親など)の場合は、第1順位に該当する推定相続人がいないことがわかる戸籍(除籍、原戸籍)謄本が必要。推定相続人が第3順位の場合は第1順位、第2順位の推定相続人がいないことがわかる戸籍(除籍、原戸籍)謄本が必要。また、相続させるとした子が遺言者より先に死んだ場合には子に相続させるとした財産を孫に相続させるといった予備的遺言を作成する場合には、孫が子の相続人であることがわかる現在戸籍も必要なので注意。

 

(推定相続人以外に遺贈する場合)

▢ 受贈者の住民票(3ヶ月以内発行のもの)

 

(証人を用意する場合)

▢ 各証人の本人確認書類(免許証など)

 

(遺言執行者がいる場合)

▢ 遺言執行者の本人確認書類(免許証など)
※本人確認書類として免許証ではなく住民票を要求されたことがありますので要確認する必要があります。

 

(預貯金など金融資産が遺言の対象の場合)

▢ 銀行名、口座番号、残高がわかるメモ(通帳のコピーなど)

 

(不動産が遺言の対象の場合)

▢ 登記事項証明書またはインターネットで取得する登記情報
※当職はインターネットで取得する登記情報の方が安いのでこちらを提出するようにしておりますが、はじめて利用する公証役場の場合は念のためインターネットのものでよいか?確認するようにしております。

▢ 固定資産税評価証明書または納税通知書の課税明細書

 

(ご高齢で遺言者の遺言能力が疑われる場合)

▢ 医師の診断書

 

全国の各公証役場において若干の違いが予想されますので、事前に確認されることをオススメします。