本件は、亡甲名義の不動産につき、甲が亡くなった後に、乙丙間で丙が亡甲名義の不動産を取得する内容の遺産分割協議をしていたが、その内容を書面にしておりませんでした。その後、遺産分割協議の内容を書面化する前に乙がなくなってしまい、最終相続人が丙一人となったケースです。
このようなケースであれば、乙が亡くなった後に、丙が単独で作成した下記遺産分割協議証明書を添付して亡甲名義から直接丙名義の相続登記をすることができます。遺産分割協議は要式行為ではないので書面にしておかなければ無効になるわけではないからです。(平成28年3月2日付法務省民二第154号参照)
ただし、甲死亡後、乙・丙間で遺産分割をしないままに乙が亡くなってしまった場合は、本件のように直接丙名義の相続登記をすることはできません。
遺 産 分 割 協 議 証 明 書 平成28年12月10日、大阪府枚方市〇〇町〇番〇号 甲(最後の本籍 大阪府枚方市〇〇町〇〇番地)※①の死亡により開始した相続における共同相続人全員は、平成〇〇年〇月〇日※②、その遺産について、下記のとおり遺産分割の協議を行った。 1、次の不動産※③は相続人 丙 が相続する。 所 在 枚方市〇〇町 所 在 枚方市〇〇町〇〇番地〇 上記のとおり、共同相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証明するため本書を作成し、次に署名捺印する。 平成〇〇年〇月〇日 住 所 大阪府枚方市〇〇町〇番〇〇号 |
※①誰の遺産分割協議であるのかを特定するために被相続人の最後の住所及び最後の本籍を記載します。
※②遺産分割協議が成立した日付を記載します。乙が亡くなる平成30年8月7日以前の日付である必要があります。
※③不動産については住所ではなく登記事項証明書記載どおりの地番及び家屋番号を正確に記載します。市区町村から送付される固定資産税の納税通知書や固定資産税評価証明書などの固定資産課税台帳の不動産の表示は地番及び家屋番号で記載されておりますが、登記事項証明書と地目地積または床面積が異なることがありますので注意しましょう。登記事項証明書と固定資産課税台帳の不動産の表示が異なる場合は、登記事項証明書どおりに記載すれば相続登記申請において間違いございません。
※④既に亡くなっている乙の代わりに丙が署名し、実印を押印します。遺産分割協議証明書の場合も印鑑証明書の添付は必要です。丙の印鑑証明書のみを添付します。
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遺産分割協議書のひな形一覧
▢ 遺産分割協議書の作り方・ポイント
▢ 不動産を相続
▢ 不動産を共有持分の割合で相続
▢ 不動産の共有持分を相続
▢ マンションを相続
▢ 未登記建物を相続
▢ 附属建物がある建物を相続
▢ 不動産の換価分割①(単独名義にして売却)
▢ 不動産の換価分割②(共有名義にして売却)
▢ 不動産の代償分割①(代償として金銭を支払う)
▢ 不動産の代償分割②(代償として不動産を譲渡)
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▢ ゆうちょ銀行の相続(振込先を指定する場合)
▢ 一人の相続人が債務を相続
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▢ 遺産分割協議をする前に相続人の一人が死亡した場合
▢ 数次相続における中間省略登記
▢ 遺産分割協議証明書の書き方
▢ 数次相続の最終相続人一人の遺産分割協議証明書