遺産分割で代償分割するのはどんなケース?

遺産が金銭だけであれば相続人間で簡単に分けることができます。
また遺産が不動産のみの場合でも、不動産を売却することによって、その売却代金を相続人間で分けることができます。

しかし、遺産が不動産だけで金銭がなく
相続人の一人がその唯一の遺産である不動産に居住してる場合はどうでしょうか?

居住している相続人以外の相続人は、
不動産を売却して売却代金を相続人間で分けたいと考えてますが、
居住している相続人はそのまま住み続けていたいので、不動産の売却には猛反対するでしょう。

このような場合の解決方法として登場してくるのが代償分割です。
代償分割とは、居住している相続人が不動産を相続する代わりに他の相続人達に金銭を支払って相続人間の不平不満をなくす方法をいいます。

代償分割の注意点

▢ 代償分割は、不動産に限らず特定の遺産を相続人の一人が相続したい場合に、他の相続人に金銭を支払うことによって相続人間の不平不満をなくす方法としてオススメです。但し、代償金を支払う相続人にとっては、まとまった金銭を用意しなければならず大きな負荷となります。

▢ 遺産分割協議書に代償分割である旨をしっかりと明記しておかなければ、代償金に贈与税が課される場合があります。贈与税とは贈与された側(代償金を受け取る相続人)に課される税金です。代償分割はきちんと手続きを行えば、贈与税が発生することはありません。
したがって代償分割を行う場合は、下記の遺産分割協議書のひな形を参考に事前に管轄する税務署、税理士にしっかり相談した上で実行されることお勧めします。
 

不動産を相続する代償として金銭を支払う代償分割する場合の遺産分割協議書のひな形

 
 

遺 産 分 割 協 議 書

 平成〇〇年〇月〇日被相続人甲野進次郎※①(本籍地 大阪府高槻市〇〇〇町〇〇番地)の死亡により開始した相続における相続人全員は、被相続人の遺産について、次のとおり分割することに合意した。

1、次の不動産※②は、相続人 甲野 武 が相続する。

所  在   茨木市〇〇〇一丁目
地  番   〇〇〇番〇
地  目   宅地
地  積   〇〇〇.〇〇㎡

所  在   茨木市〇〇〇一丁目〇〇〇番地〇
家屋番号   〇〇〇番
種  類   居宅
構  造   木造瓦葺2階建
床 面 積   1階 〇〇.〇〇㎡
      2階 〇〇.〇〇㎡

2、相続人甲野武は、相続人甲野幸子に対し、前項の遺産を相続する代償として金〇〇〇万円を、平成〇〇年〇月〇日限り、支払うものとする。

3、相続人甲野武は、相続人丙山加奈に対し、第1項の遺産を相続する代償として金〇〇〇万円を、平成〇〇年〇月〇日限り、支払うものとする。

上記のとおりの協議が成立したので、この協議の成立を証するために本協議書を3通※③作成し、各自1通を所持する。

平成〇〇年〇月〇日

住所 大阪府茨木市〇〇町〇番〇〇号
相続人 甲野幸子 ㊞※④

住所 大阪府吹田市〇〇二丁目〇番〇号
相続人 丙山加奈 ㊞

住所 大阪府茨木市〇〇町〇番〇〇号
相続人 甲野武  ㊞

 

※①誰の遺産分割協議であるのかを特定するために被相続人の本籍地を記載します。
※②不動産については住所ではなく登記事項証明書記載どおりの地番を正確に書きます。固定資産税評価証明書の不動産の表示は地番で記載されておりますが、登記事項証明書と地目地積が異なることがありますので注意しましょう。登記申請は不動産の表示が登記事項証明書記載どおりであれば間違いなく通ります。
※③後日の紛争を防ぐためにも、遺産分割協議書は相続人分作成し、相続人各自が大切に保管するようにしましょう。
※④相続人全員が署名し、実印を押印します。
 

遺産分割協議書のWordファイルのダウンロード

不動産を相続する代償として金銭を支払う代償分割する場合の遺産分割協議書のひな形のWordファイルのダウンロード 
 

 
 
 

 

遺産分割協議書のひな形一覧

▢ 遺産分割協議書の作り方・ポイント
▢ 不動産を相続
▢ 不動産を共有持分の割合で相続
▢ 不動産の共有持分を相続
▢ マンションを相続
▢ 未登記建物を相続
▢ 附属建物がある建物を相続
▢ 不動産の換価分割①(単独名義にして売却)
▢ 不動産の換価分割②(共有名義にして売却)
▢ 不動産の代償分割①(代償として金銭を支払う)
▢ 不動産の代償分割②(代償として不動産を譲渡)
▢ 預貯金を相続
▢ ゆうちょ銀行の相続(振込先を指定する場合)
▢ 一人の相続人が債務を相続
▢ 自動車を相続
▢ 遺産分割協議をする前に相続人の一人が死亡した場合
▢ 数次相続における中間省略登記
▢ 遺産分割協議証明書の書き方
▢ 数次相続の最終相続人一人の遺産分割協議証明書